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KNOW-HOW

名刺読み取りアプリを自作する

スマホで撮った名刺を、読み取り→人の確認→台帳に1行→連絡先まで、契約中の道具で自社で組めます。

公開: 2026.09.18 / 実務ノウハウ

名刺読み取りの流れ(手順2〜6) 名刺読み取りの流れ(手順2〜6) スマホで撮影(アプリのス キャン) 名刺フォルダーに保存(命 名規則) 台帳に1行(取込日・ファイ ル名) Copilot/Gemini が項目を 表に 人が貼り原本と見比べ確認 済○ 確認済の行をCSV→連絡先
名刺読み取りの流れ(手順2〜6)(概念図。細部は省いています)

なぜ大事か

名刺は机や名刺ホルダーに溜まり、電話をかけたい時に探すところから始まります。手入力で台帳に写すと転記の誤りが起き、メールの不達や宛名の誤りにつながります。誰がいつ、どの場面で会ったかが名刺の裏書きにしか無いと、担当者が替わった時に連絡先ごと引き継ぎから漏れます。名刺の情報を表計算ソフトに入力・整理すると個人情報保護法の「個人情報データベース等」に当たるため、どの道具に画像を渡すかを先に決める必要もあります。撮影から台帳・連絡先までの流れを一度組んでおくと、保存した時点で台帳に1行が入り、ファイル名で画像に戻れ、確認済の列で人の目を通したかどうかが残ります。

名刺の困りごとと、仕組みがあると変わること

困りごと起きること仕組みがあると
名刺が机や名刺ホルダーに溜まる電話をかけたい時に探す保存した時点で台帳に1行、ファイル名で画像に戻れる
手入力の転記ミスメール不達・宛名の誤り読み取り結果を人が確認してから確定する
誰がいつ会ったか分からない引き継ぎで連絡先が消える台帳に「交換した場面」「自社担当者」の列を持つ
名刺を外部サービスに送ってよいか迷う個人情報の扱いが決まらないまま運用が始まる「学習に使わない」記載のある道具を先に決めて社内で共有する

手順

手順1(補足)台帳と名刺フォルダーを先に用意する

手順1〜6は、各製品の公式ドキュメントで確認できた機能だけで組んだ構成例(運営による補足)です。先に台帳と名刺フォルダーを用意します。保存のたびに台帳へ1行が入り(手順3)、手順4〜5はその行を埋めて確かめる作業です。台帳は「取込日・会社名・姓・名・電話・メール・交換した場面・確認済」の8列を基本にし、画像ファイル名や自社担当者などは手順3の表から選んで足します。名刺に記載の無い項目は空欄にします。

Microsoft 365(OneDrive / Excel)
OneDrive for Business に名刺フォルダーを作ります。台帳の Excel ブックは別のフォルダーに置き、名刺フォルダーのファイル数と台帳の行数を照合できる形にします。台帳の範囲は「テーブルとして書式設定」で Excel のテーブルにします(Power Automate の行の追加は Excel のテーブルが対象で、パラメーター「表」が必須)。「-」で区切った数字は Excel が日付に変える場合があるため、電話・郵便番号・住所の列は先にテキスト形式にします。
Google Workspace(ドライブ / スプレッドシート)
Google ドライブに名刺フォルダーを作り、台帳はスプレッドシートで作ります。1行目を見出し行にし、「確認済」列は「挿入→チェックボックス」にします。フィルタで未確認の行だけを表示できます。フォルダーと台帳の共有は、担当者を指定して行います。

名刺台帳(Excel / スプレッドシート)の基本の8列と見本(会社名・氏名は架空。空欄=名刺に記載なし)

取込日会社名電話メール交換した場面確認済
2026-09-18A社佐藤太郎03-0000-0000sato@example.com展示会
2026-09-18B社鈴木花子048-000-0000suzuki@example.com工場見学
2026-09-19C社高橋一郎045-000-0000不明引取りの立会い
2026-09-19D社伊藤06-0000-0000見積の打合せ

手順2(補足)撮る・保存する(撮影アプリは自作可・ファイル名を決める)

スマホで名刺を撮り、名刺フォルダーに保存します。撮影するアプリそのものも自作できます(自作可)。ここでは手元にある標準アプリの例を示します。ファイル名は「日付時刻_会社名の略称_姓」に統一し、台帳の「画像ファイル名」列と一致させます(命名規則の表)。確認の状態は台帳の列で持ち、ファイルは動かしません。以下は両環境とも Android 版の公式ページで確認した手順です。iOS 版の手順は本記事では確認していません。

Microsoft 365(OneDrive アプリ)
OneDrive アプリで「スキャン」(または「追加」→「スキャン」)→モード「名刺」→撮影→「完了」→ファイル名を入力して「保存」。ファイルは PDF で保存されます。「追加」で次の面を撮ると、表裏を1つの PDF にできます(複数ページは10ページまで)。「名刺」モードに文字や連絡先の抽出の記載はありません。保存先フォルダーの指定も公式ページに記載が無いため、保存後に保存場所を確かめます。OneDrive 内で移動したファイルは手順3のトリガーで新しいファイルと見なされないため、移動した分は台帳に手で1行足します。
Google Workspace(ドライブ アプリ)
Google ドライブ アプリのカメラのアイコン→撮影→ファイル名を入力→形式(.pdf / .jpg)を選ぶ→「場所」で名刺フォルダーを選ぶ→「保存」。追加のアイコンで次の面を撮ると、表裏を1つのファイルにできます。手順4でチャットに写真として渡す場合は .jpg を選びます。

名刺ファイルの名前の付け方

要素理由・決め方
日付+時刻20260918-1030撮影した日時。同じ日の複数枚が時刻順に並ぶ
会社名の略称(ローマ字)a-sha社内で1社1略称を決める
姓(ローマ字)sato個人名を短くする
同姓が続く時sato-t名の頭文字を足す
全体20260918-1030_a-sha_sato.pdf台帳の「画像ファイル名」列と一致させる
表と裏(1つのファイルに表→裏の順)スキャンの「追加」で裏面を続けて撮る
複数枚を1枚に撮った時20260918-1030_tenjikai_01.jpg台帳では該当する全行に同じファイル名を入れる
拡張子.pdf / .jpgOneDrive のスキャンは PDF。ドライブは .pdf か .jpg を選ぶ
使わない文字空白・全角・スラッシュ・「株式会社」検索や自動処理で扱いにくい

手順3(補足)保存を台帳の1行にする

保存された名刺ファイルごとに、台帳へ「取込日」と「画像ファイル名」の2列だけを自動で1行入れます。会社名以下の項目は手順4で人が貼ります。この2列のほかに足せる列は「追加列と見本」の表のとおりです。自動処理を置かない場合は、この2列も手で入れます。

Microsoft 365(Power Automate 標準コネクタ)
OneDrive for Business コネクタのトリガー「ファイルの作成時 (プロパティのみ)」に名刺フォルダーを指定し、Excel Online (Business) コネクタのアクション「テーブルに行を追加する」で1行入れます。画像ファイル名の列にはトリガーの戻り値「名前」を入れます。取込日は、日時が協定世界時(UTC)で渡る場合があるため、組み込みの「タイム ゾーンの変換」アクションで日本時間にしてから入れます。どちらのコネクタもクラスは Standard(標準)で、標準コネクタは Microsoft 365 の使用権の範囲で使えます。プレミアム コネクタには別のライセンスが必要です。
Google Workspace(Google Apps Script)
名刺フォルダーを一定間隔で確認し、台帳の「画像ファイル名」列にまだ無いファイルの取込日とファイル名を1行追加する処理を Apps Script で書きます。エディタ左側の「トリガー」→「トリガーを追加」で、時間主導型のトリガー(1時間ごと等)を設定します。保存と同時に動く仕組みではなく定期確認のため、台帳への反映はトリガーの間隔の分だけ遅れます。

追加列と見本(必要な列だけ台帳に足す)

列名見本誰が入れるか用途
画像ファイル名20260918-1030_a-sha_sato.pdf自動処理(手順3)原本の画像に戻る
部署環境管理部窓口の特定
役職課長宛名や肩書の確認
携帯090-0000-0000現場での連絡
郵便番号・住所100-0000 東京都○○区1-1-1郵送・訪問(Excel は列をテキスト形式に)
相手の立場排出事業者 / 収集運搬 / 処分 / 買取先フィルターで「処分先の窓口だけ」を取り出す
自社担当者田中引き継ぎ時に誰が会ったかを示す
次の対応見積送付対応漏れの確認
連絡先へ取込済2回目以降の取り込みで重複を防ぐ

手順4(補足)読み取る(チャットに見せて項目を表にする)

読み取り方は三つの方式に分かれます(図)。①チャットに見せる=契約に含まれる Copilot Chat や Gemini アプリに名刺ファイルを渡し、項目を表形式で出力させる。②専用モデル=項目を自動で抽出する(追加ライセンスが必要)。③API を自社で呼ぶ(従量課金・要開発)。この記事は①を軸に組みます。依頼文は台帳の列順に合わせて書き、返ってきた表を台帳の行に貼ります(依頼文の表)。記載の無い項目は空欄、読めない項目は「不明」と出力させます。 運営の推奨: 文字の読み取り(OCR)に使うAIは、Claude Opus や GPT-5 以上の上位モデルを推奨します。

Microsoft 365(Copilot Chat / AI Builder)
Microsoft 365 Copilot Chat は、Microsoft 365 サブスクリプションを持つ組織に自動で含まれます。チャット ボックスの「(+) コンテンツの追加」から、手順2の PDF をそのままアップロードできます(公式FAQがアップロードできるファイルに PDF を挙げています。制限が適用されます)。Microsoft Entra アカウントでサインインした利用にはエンタープライズ データ保護が適用され、プロンプト・応答・アップロードしたファイルはモデルの学習に使われません。Copilot Chat は API を提供していないため、フローから呼び出す構成は取れません。自動抽出には AI Builder「名刺リーダー」があります(有料。必要なライセンスと環境は「ここが危ない」に記載)。
Google Workspace(Gemini アプリ)
Gemini アプリは、Business Starter / Standard / Plus、Enterprise Standard / Plus などのエディションにコアサービスとして含まれます。手順2で .jpg を選んだ名刺の写真をアップロードして依頼します。エンタープライズ グレードの保護が適用される利用では、チャットの内容やアップロードしたファイルは、人間のレビュアーによるレビューや生成 AI モデルの改良に使われません。自社のエディションが対象かどうかは、公式ヘルプの一覧で確かめます。
読み取り方の三つの方式と費用 読み取り方の三つの方式と費用 ①チャットに見せる(契約に含まれる) Copilot Chat に見せる Gemini アプリに見せる ②専用モデル(追加ライセンスが必要) AI Builder 名刺リーダー ③APIを自社で呼ぶ(従量課金・要開発) 画像認識・生成AIの各社AP I
読み取り方の三つの方式と費用(概念図。細部は省いています)

チャットへの依頼文の例と、返ってきた表の貼り方(Copilot Chat / Gemini アプリ共通)

依頼文返ってくる形貼り方
この名刺の 会社名・姓・名・電話・メール を、この順に列にした表にしてください。名刺に記載の無い項目は空欄、読めない項目は「不明」としてください見出し行+1行の表(A社/佐藤/太郎/03-0000-0000/sato@example.com)データの行をコピーし、台帳の該当行の会社名のセルから貼る。列がずれた場合は項目ごとに貼り直す
(書き換え)項目名と順番は自社の台帳の列順に合わせる。部署・役職などを足す場合は、台帳でも連続した列にする台帳と同じ順の列連続した列にまとめて貼る
名刺が複数枚写った写真: 上の依頼文に「名刺ごとに1行にしてください」を足す名刺の数だけ行がある表各行の会社名・姓で台帳の行との対応を確かめてから貼る
不明が出た項目: 「電話番号とメールアドレスだけを、原本の表記のまま書いてください」03-0000-0000 / sato@example.com該当のセルに貼り、手順5で原本と見比べる

手順5(補足)人が確認する(確認済の列を持つ)

読み取り結果には誤りが含まれる場合があります。名刺ファイルを開いて台帳の行と並べ、会社名・姓名・電話・メールを原本と見比べてから「確認済」に○を入れます。見比べる観点は表のとおりです。「不明」が残る行は確認済にしません。未確認の行は連絡先へ取り込まない、という順番を決めておきます。

Microsoft 365(Excel / Power Apps)
アプリを作らない場合は、Excel のフィルターで確認済が空の行だけを表示して見比べます。確認用の画面を自作する場合は、Power Apps のキャンバス アプリで台帳のテーブルを Excel Online (Business) コネクタ(標準)につなぎ、項目の入力欄と確認済の欄を並べます。標準コネクタだけのアプリは Microsoft 365 の使用権の範囲で実行できます。画像は手順2のスキャンで保存し、アプリは確認と入力だけに使います。
Google Workspace(スプレッドシート / AppSheet)
スプレッドシートのフィルタで「確認済」が未チェックの行だけを表示して見比べます。確認用の画面を自作する場合は、AppSheet でスプレッドシートをデータソースにしたフォームを作る方法があります。AppSheet を利用できる範囲は契約中のエディションと管理者の設定で変わるため、管理コンソールで確かめます。

確認の観点(名刺の読み取りで起きる誤りの型)

誤りの型確認すること
数字の0と英字のO「O3-0000-0000」電話番号は数字だけか
1とlとI「sato1」と「satol」メールは原本の綴りと1文字ずつ見比べる
ハイフンの有無と全角/半角「03ー0000」「03-0000」半角に統一されているか
メールの「.」と「,」「sato@example,com」「.」で区切られているか
姓の旧字体髙/高・﨑/崎・邊/辺原本の字体を採る
社名の「株式会社」の前後「株式会社A社」と「A社株式会社」前株・後株を原本どおりに
住所のビル名の欠落「1-1-1」だけで「○○ビル3F」が無い2行目以降まで読めているか
「不明」の残りメール欄に「不明」原本で解消するまで確認済にしない。記載が無ければ空欄にする

手順6(補足)連絡先に取り込む(Outlook / Google コンタクト)

確認済の行だけを CSV にし、メールソフトの連絡先へ取り込みます。列名は、先に連絡先を1件エクスポートして見出し行を取り、その列名にそろえます。同じ人を二重に入れないよう、台帳の「連絡先へ取込済」列に印を付け、印の無い確認済の行だけを CSV にします。「不明」の文字が残った行は対象から外します。

Microsoft 365(Excel / 新しい Outlook)
Excel は確認済でフィルター→表示行を新規ブックにコピー→UTF-8 の CSV で保存します。日本語を含む CSV は、UTF-8 以外では文字が正しく表示されない場合があります。新しい Outlook は、ナビゲーション バーの「People」→リボンの「連絡先のインポート」→CSV ファイルを選択、の順です。見出し行の列名は、同じ画面の「連絡先のエクスポート」で出した CSV で確かめます。
Google Workspace(Google コンタクト)
スプレッドシートは確認済の行だけを別シートに出し(FILTER 関数など)、「ファイル→ダウンロード→カンマ区切り形式(.csv)」で保存します。Google コンタクトの左側の「インポート」→「ファイルを選択」→ CSV(.csv)または vCard(.vcf)を選んで取り込みます。1回のインポートは3,000件までです。

使う道具

道具無料か有料か役割
OneDrive アプリ / Google ドライブ アプリの「スキャン」(撮影アプリは自作可)追加費用なし(各アプリの機能)名刺の撮影と保存。OneDrive は PDF、ドライブは .pdf か .jpg
Microsoft 365 Copilot Chat(ファイルのアップロード)追加費用なし(Microsoft 365 サブスクリプションを持つ組織に自動で含まれる)名刺ファイルを見せて項目を表にさせ、人が確認して貼る
Gemini アプリ(ファイルのアップロード)追加料金なし(Business Starter / Standard / Plus、Enterprise Standard / Plus 等にコアサービスとして含まれる)名刺の写真を見せて項目を表にさせ、人が確認して貼る
Power Automate(OneDrive for Business / Excel Online (Business) コネクタ)Microsoft 365 の使用権の範囲(どちらも標準コネクタ)保存を検知して台帳に取込日とファイル名を1行追加
Google Apps Script(時間主導型のトリガー)Google アカウントで利用名刺フォルダーを定期確認して台帳に取込日とファイル名を1行追加
Power Apps(キャンバス アプリ)/ AppSheetPower Apps は標準コネクタだけなら Microsoft 365 の使用権の範囲。AppSheet は契約中のエディションで変わる確認と入力の画面の自作
AI Builder 名刺リーダー有料(Power Automate Premium ライセンスと Dataverse 環境が前提。名刺リーダー自体の AI Builder クレジット消費は 0)名刺ファイルから項目を自動抽出
Outlook「連絡先のインポート」/ Google コンタクト「インポート」追加費用なし(各環境の機能)CSV / vCard から連絡先へ取り込み

ここが危ない

どの方式まで追加費用なしで組めるか、名刺の画像をどの道具に渡してよいかは、契約中のプランと社内の規程で変わります。自社の環境に合わせた組み方は参加フォームからお尋ねください。 参加フォームから聞く →

名刺の数項目でも人の確認が必要です。契約書の項目抽出はそれより難しいため、本気で作ったものをSaaSに実装して使えるようにしています。

出典・確認した公式情報